止められない重要なメールシステムを支える、
ディープソフトの『MailSuite』
大阪大学サイバーメディアセンターは、既存の大型計算機センター、情報処理教育センター、図書館(一部)を再構成し、理学研究科、工学研究科、基礎工学研究科、言語文化部・言語文化研究科などをはじめとする学内外の情報基盤を支える組織として2000年度に設置された。情報メディア教育研究部門は、同センターの教育系システムの運用管理を主な業務としている。同センターは、ディープソフトの『MailSuite』で、メール環境を構築しており、大阪大学の全学生と一部の教職員3万2000アカウントの運用・管理を行っている。
スタッフは実質3.5人 運用負荷を軽減すべく、Webメールを検討
「サイバーメディアセンターは、1000台を超えるクライアントPCの運用・管理をしています。ライセンス管理しているアプリケーションソフトは、40から50といったところでしょうか。このシステムを管理するスタッフは、事務スタッフを含めてわずか実質3.5人で、その運用負荷が課題となっていました。こうしたことから、運用・管理工数を低減させるソリューションをさがしていました」と、大阪大学サイバーメディアセンター・情報メディア教育研究部門・准教授/博士(工学)の清川清氏は語る。
2003年までの同校のメール環境は、電子メールクライアントでIMAP(Internet Message Access Protocol)方式のアプライアンス型のメールサーバーを使っていた。そのため、電子メールを利用するには、それぞれのユーザーごとに電子メールクライアントの設定をしなければならなかった。学内のクライアントPCだけで利用するならまだしも、学生が自宅でメールを利用しようとすると、複雑な設定を学生個人がやらなければならなくなり、そのヘルプデスク業務にも一定の人数と時間を割かなければならなくなる。ただでさえマンパワーが不足している中で、この業務はかなりの負担になった。
「理系の学生だけでなく、文系の学生もメールを使うようになりました。学生を取り巻く環境が、以前と大きく変わったのです。文系の学生にとってメールの設定だけでも高いハードルとなります。
Webメールならインターネットに接続できるブラウザがあれば利用できるので、これまで必須だった設定はもちろん、電子メールクライアントすら不要になり学生も簡単に利用できます。そこで、Webメールを利用できるソリューションの導入を検討しました」と、サイバーメディアセンター・情報メディア教育研究部門・助教/博士(工学)の間下以大氏は語る。こうして、数々のソリューションを検討した結果、ディープソフトの『MailSuite』の採用が決定した。
国立大学での実績も情報も多い
導入の決め手は管理・運用性と安心感
現在、さまざまなWebメールソリューションが提供されている。強豪がひしめくなか『MailSuite』を選定した理由について、清川氏は次のように語った。
「ほかのソリューションも検討しましたが、スパムを含めたメールシステムをオールインワンで利用できる部分に魅力を感じました。また、ほかのソリューションでは、当センターで採用しているSolaris環境でうまく動かないのではないかといった懸念がありましたね。
『MailSuite』は、動作確認がとれていましたし、ほかの大学での導入実績もあり、それらの大学から話も聞いていたので、安心感がありました」。たしかに、導入した後でうまく動かなかった場合のことを考えると、少しでも安心して導入できるものを選びたいと思うものだ。『MailSuite』は、メールシステムをオールインワンで提供されることに加え、実績もあり、安心して導入できるソリューションであったことが、選定の理由となった。
『MailSuite』は、ディープソフト独自開発エンジンを搭載したオールインワンメールソリューションである「DEEPMail」と、スパム遮断ソリューションである「SPAMBlock」の統合ソリューション。MTA、MDA、Webメールサーバー、メーリングリストサーバー、ウイルス・SPAMフィルタ機能を1台のサーバー上に搭載し、統一されたWebインターフェースが提供されているため、容易に管理できる。さらにシステム管理者には、ドメイン単位にドメイン管理者を作成して権限を委任できるなど、管理工数を削減する機能が追加されている。こうした機能が、Webメールの利用と管理・運用負荷の低減とを模索する大阪大学にとって大きな魅力となった。
大阪大学
サイバーメディアセンター
情報メディア教育研究部門
准教授/博士(工学)
清川 清氏
サイバーメディアセンター
情報メディア教育研究部門
助教/博士(工学)
間下 以大氏
導入してはじめて分かったディープソフトのサポート力
『MailSuite』を導入し、驚いたのがディープソフトのサポート力だという。ディープソフトは、国内でソースを持っており、製品の製造・開発も行っている。開発・製造元であるため、細かいところまで把握できることから、顧客満足度の高いサポートを提供できるのだろう。
たとえば、障害時の対応だ。大阪大学でこれまで導入していたメール製品の場合、メールシステムの障害復旧に1〜2週間費やすといったことはまれではなかった。メールは非常に重要なコミュニケーション手段であるため、障害による停止は大きな問題となる。システムダウンタイムは少ないに超したことがない。
「メールの障害が起こった場合、迅速に復旧しなければならないため、サポート体制は非常に重要です。ディープソフトの場合、エンジニアの方がリモートで対応いただけるので、障害が生じても最短で復旧します。このサポート力は、非常に心強いですね」と、サイバーメディアセンター・講師・博士(工学)の中澤篤志氏は語る。さらに、中澤氏は「当センターのような場合、システムの作り込みが発生します。当センターのリクエストに対して、回避策を提示するのではなく、問題の本質を理解し、修正してもらえるディープソフトのような保守サポートは、非常にありがたいですね」と続ける。
サイバーメディアセンター
講師・博士(工学)
中澤 篤志氏
イニシアチブを握れない懸念材料の多い無償ホスティングは選定できない
大阪大学は、2009年のメールシステムのリプレースでも『MailSuite』を選定している。これまで培ってきた安心感、信頼性の高さに加え、新システムへの移行が容易なことが選定の決め手となったという。
「これまで導入していた『MailSuite』のスプールをコピーしつつ、新システムに移行していきました。そのため、実際にシステムを停止しなければならなかった日数はほとんどありませんでした」と中澤氏は振り返る。
実は、メールシステムのリプレース時には、クラウドを活用した無償ホスティングも検討したという。無償ホスティングは、私学の大学ですでに導入実績も出ており、サーバーの管理・運用が不要ということで導入のメリットは大きいとされている。しかし、いいことばかりではない。「無償ホスティングはデータを手元に置くことができず、外部に渡すことになります。当然、イニシアチブを握ることも難しくなりますし、ほかのシステムへのリプレースも困難でしょう。非常に懸念材料が多いため、当センターとしては『MailSuite』を引き続き選定しました」と清川氏は語った。
『MailSuite』は、現在もバージョンアップを重ねている。現在のバージョンでは、スパム検知エンジンに定評のあるCLOUDMARKを採用している。これにより、これまでの独自フィルタよりもキャッチレートが格段に向上している。「ほかにもメリットがあります。CLOUDMARKの場合、そのメールがなぜスパムメールとして判断されたかという理由が開示されるため、ユーザーからクレームが来た場合もその理由を提示しやすくなりました。ヘルプデスク業務の負担も、これで軽減されました」(中澤氏)。
現在、同センターは、全学生と一部の教職員に対してアカウントを発行しているが、今後はそれを全学に広げようと検討している。「その際は、『MailSuite』を冗長化構成とし、パフォーマンスや信頼性をさらに向上させたい」(清川氏)とのことだ。
大阪大学は『MailSuite』はもちろん、ディープソフトのサポートに非常に満足している。今後の機能拡張や学内のサービス充実への取り組みを検討する際も、同ソリューションは欠かせない存在となっているようだ。
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