パフォーマンスが大幅に改善。ディープソフトのメールシステム
大分大学の情報基盤センターは、学内(旦野原キャンパス)にある30を超えるサーバーやネットワークインフラ、5000台ほど存在するクライアントPCの管理などを行っている。非常に規模の大きなシステムだが、5人のスタッフで管理・運用に当たっているため、情報基盤センターの膨大な管理・作業工数は想像に難くない。
数万規模のアカウント数でも安定稼働しているという実績に加え、カスタマイズしやすく安価であることが導入の決め手。
大分大学の情報基盤センターは、学内(旦野原キャンパス)にある30を超えるサーバーやネットワークインフラ、5000台ほど存在するクライアントPCの管理などを行っている。非常に規模の大きなシステムだが、5人のスタッフで管理・運用に当たっているため、情報基盤センターの膨大な管理・作業工数は想像に難くない。
大分大学では、それぞれ学部や教員、事務職員、図書館のほか、工学部の学科単位ごとにドメインを構築し、それぞれ独立したメールサーバー(12台)を運用していた。しかし、2003年に大分医科大学との統合が実施されて以降、メールドメインの統合が大きな目標となっていた。というのもLDAPを活用した統合認証システムの導入を先行して実施したが、メールシステムへのログインにおいては、サーバーごとにドメインが異なるためログインIDはサブドメインを含めたメールアドレスの入力を余儀なくされる状況にあった。
「学内のWindowsログインや各種Webシステム、授業支援システムなどは文字種の制限や長さの制限により、@やサブドメインを含んだメールアドレスをIDとして利用できないためLDAPを活用することができず統合認証システムの実質的な運用が完全ではないという思いがありました」と大分大学 学術情報拠点 副拠点長(情報基盤センター担当) 教授 工学博士の吉田和幸氏は語る。 しかし、メールドメインを統合していく過程においては様々な障害があった。
「サブドメインで分けているときには、foo@abc.oita-u.ac.jpやfoo@xyz.oita-u.ac.jpというように@より前のユーザーIDが重複する場合がありました。このままではサブドメインを撤廃し、@oita-u.ac.jpに統合することはできません。この重複を解消するため、数年前から重複するIDを使用しているユーザーには通知し、IDとアドレスの変更を調整しました」と吉田氏は語る。
ユーザーにとって、メールアドレスの変更はインパクトが大きい。その障壁を低くするため、大分大学では4年以上前から長期計画を立て、準備を進めてきたという。
また、これまでのメール環境は、オープンソースベースのpostfixやsendmailなどで構築されており、Webmail機能を学内に提供する為、Webメールやグループウェアをメール画面表示用のゲートウェイとして採用。また、ユーザーが設定すれば電子メールクライアントも利用できた。ユーザーによってWebmailやグループウェア、電子メールクライアントなどさまざまな環境で利用している状況だった。
吉田氏は研究テーマがメールということもあり、メールシステムについて専門知識を持つ。
しかし、オープンソースソフトウェアのため、導入や設定、障害などが発生した際は管理者が対応に当たる必要があり、大分大学の場合、情報基盤センターがその責務を負っており、学内に12台ものメールサーバーが乱立している中で、メールシステムだけの管理工数だけでも膨大であったことが想像される。「既存のシステムは、パフォーマンスの低下が深刻でした。メーリングリストに投稿したメッセージが翌日に届くこともあり、再送処理のタイミングが遅いことが課題となっていました。一回の再送処理ですべてを処理し切れず、その間もメールが次々と遅延していきましたね」と吉田氏は、メールシステムについての問題点を指摘する。台数が多ければ多いほどメールの配送経路は複雑化され、どこかの経路で障害が発生するとボトルネックとなり、配送遅延が発生することで、メールシステム全体のパフォーマンスに悪影響を与えていたのだ。
そこで、今回大分大学が導入したのはディープソフト社のメールシステムだ。国内において非常に多くの大学が導入・運用しているという事例のほか、数万規模のアカウント数でも安定稼働しているという実績を重要視した結果だった。
「実はアプライアンス製品も検討しましたが、冗長構成が不完全という点やディスク容量の追加が困難である点に不安を感じていました。そこで、ソフトウェア製品で、カスタマイズしやすく負荷分散もできるMailSuiteを選定しました」と吉田氏は語る。
今回のシステムは富士通がインテグレーションを担当した。富士通・九州支社・文教営業部の田中浩司氏に話を聞くと「最近のお客様のニーズを考えると、スケールアップしやすいという部分は非常に大きいと思います。運用ポリシーが決まっている企業などではアプライアンス製品を導入することもあるのでしょうが、文教市場においては、ハードウェアやストレージを柔軟に追加できるソフトウェア製品の方が向いているように感じています。また価格面においても、高額になりがちなアプライアンス製品よりも安価なMailSuiteに魅力を感じました」とのことだ。
アプライアンス製品は、ハードウェア/ソフトウェアを一括導入できるので、システムを構築・運用しやすいというメリットがあるが、パフォーマンスやストレージ容量が不足してきたときに柔軟に対応できないというデメリットもあるのだ。そういう面では、柔軟な構成/カスタマイズを実現するソフトウェア製品は、システムを提案・構築するインテグレーターにとってのメリットが大きい。
ディープソフトのMailSuiteを導入した感想を吉田氏に聞くと、「パフォーマンスがとても向上しました。大量のメールをPOPでダウンロードする時間が、半分くらいに削減されていると体感しています」というコメントが返ってきた。また、SMTP配送についても以前のような遅延はほとんど発生して時間がかかるかなと思っていましたが、想定通りの日数で終わりましたね。ただ、導入後にWebメールなどのインターフェイスが大きく変更されたため、その説明などに工数がかかりました」と語る。
今回、LDAPによる統合認証を実現するため、MailSuiteを導入したがメールエンジンとWebmail機能が一体型の製品であるため、これまでのWebmailインターフェイスから変更した。ユーザーにとって使い慣れたメールシステムが使えなくなったため、導入後に多少の混乱が生じていた。問い合わせなどのヘルプデスク業務に工数がとられるようになったのだ。
しかし、ディープソフトや富士通が講習会を開催したり、ユーザー自身が新しいシステムに慣れるうちにヘルプデスク業務も削減されていったという。
「12台あったメールサーバーは4台に集約されました。目立った配送遅延やパフォーマンス不足も発生しておらず、管理・運用工数も大きく削減されており、非常に満足しています。但し、Webmailのインターフェイスについては、住所録の管理やスケジュール機能の表示などについて、今後改善要求はしていきたいと思っています。」(吉田氏)。
ディープソフトのメールシステムとサポートに大分大学は満足しているが、一般ユーザーからの細かい要望はメーカーであるディープソフト社へ今後も投げていくとのこと。このようなフィードバックが、今後の製品開発には非常に重要であると考えるディープソフト社は真摯にユーザーの声を拾い集め、大分大学だけでなく全国の大学におけるコミュニケーションツールとして、今後も長く利用されていくために努力を重ねていく。
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